クーばあちゃんの魔法の花空間 ~庫淑蘭切り絵展~
中国初のユネスコ認定「民間美術工芸の巨匠」のファンタジーな切り絵の世界!
日中友好会館美術館では、2023年9月22日(金)から11月5日(日)まで、日中平和友好条約締結45周年を記念する第二弾の展覧会として「クーばあちゃんの魔法の花空間 ~庫淑蘭切り絵展~」と題し、中国陝西省美術博物館から届いた庫淑蘭(クー・シューラン 1920-2004年)の切り絵作品70点を展示紹介します。
「切り絵の女神」と呼ばれる庫淑蘭は、中国の芸術家として初めて、ユネスコより「民間美術工芸の巨匠」の称号を授与された人物です。およそ20年前に亡くなった彼女を私たちは親しみをこめて「クーばあちゃん」と呼んでいます。
近代中国社会の最も激しく変革した時期に波乱に満ちた人生を生きた彼女は、自然・郷土・人間に対する深い愛情と強い生命力が感じられる多くの作品を残しました。
クーばあちゃんの切り絵には、一枚の紙を切って作る中国の伝統的な切り紙とは異なり、「切る」と「貼る」の技法を組み合わせたオリジナルの創作法が用いられています。実在の動物たちやたくさんの種類の花、神話に登場する神々が、生き生きとした色づかいでよりダイナミックに、より繊細に表現され、彼女の独特の世界観と美意識によって一枚の絵の中に収められています。
さらに65歳の時に遭った転落事故の後、突然現れた「切り絵の女神」を中心としたシリーズは、個性的で芸術性に優れており、世界のアートシーンから注目を集めています。
まるで魔法をかけたかのように、切り絵で、夢と希望に満ちあふれた理想の世界を表現したクーばあちゃん。ぜひ、クーばあちゃんの魔法の花空間をお楽しみください!
【概要】
展覧会名 |
日中平和友好条約締結45周年記念展PartⅡ 「クーばあちゃんの魔法の花空間 ~庫淑蘭切り絵展~」 |
会期 | 2023年9月22日(金)~11月5日(日) |
休館日 | 月曜日、10/10(火) ※ただし、10/9(月・祝)は開館 |
開館時間 | 10時~17時 (9/29、10/6、10/20、10/27は20:00まで開館) |
入館料 | 無料 |
主催 | 公益財団法人日中友好会館、中国陝西省文化観光局 |
協力 |
中国陝西省美術博物館 |
後援 | 中華人民共和国駐日本国大使館、文京区、文京区教育委員会、国際交流基金、中国文化センター、
日本国際貿易促進協会、(公社)日本中国友好協会、(一財)日本中国文化交流協会、 (一社)日中協会、(一財)日中経済協会、日中友好議員連盟、(一社)文京区観光協会 |
【展示構成】
本展では、作品のテーマと創作年代の2つの軸に着目し、「花鳥風月」「民俗風習」「神話伝説」「切り絵の女神」の4章に分けてご紹介します。
「第一章」 花鳥風月
美しい自然に対する喜びと生命への賛歌を表現した「花鳥風月」。庫淑蘭のハサミにかかると身近な動植物が、まるで新しい生命を与えられたかのように、生き生きとした魅力を放つのです。
「生命の樹」
たくましい生命力が表現されている黒い木の幹には、
たくさんの小さな虫が付いています。
これは蜂を見たことがない庫淑蘭が想像して作った蜂の姿です。
伝統的な蝶の図柄が応用されています。
「五毒」
五毒(蛙・蜘蛛・ヤモリ・サソリ・蛇)は「毒を以て毒を制す」の言葉どおり、
邪気を避ける縁起物として、中国の伝統模様によく見られます。
作品下部に描かれた今にも動き出しそうな蛇腹は、
長さを強調させ、クルッと一回転しています。
※ ※ ※
「第二章」 民俗風習
陝西省農村部の日常生活を垣間見ることができる「民俗風習」。民謡や童話、夢みた世界や憧れの場面が、数々の切り絵作品に収められています。自分の心を映し出す鏡のような作品群です。
「橋を渡る恋人」
馬を引く青年・江娃(ジャンワ)と馬に乗る少女・梅香(メイシャン)の
甘酸っぱい恋物語を描いた作品です。
現実では幸せな結婚生活に恵まれなかった庫淑蘭ですが、恋愛に憧れ、
このカップルをモチーフにした作品をいくつも制作しています。
「犬の餌やり」
当地の農産物、男女の服装や髪型など、
陝西省農村の風景がそのまま描かれている作品です。
美術を学んだことがない庫淑蘭は、
自分の目で見たものを思うがままに配置しています。
遠近法の概念がなく、まるで抽象画のようにも見えます。
※ ※ ※
「第三章」 神話伝説
庫淑蘭の切り絵から見る中国陝西省の民間の宗教や信仰は、古くから生活の一部であり、精神的な支えとして重要でした。「神話伝説」もその一つで、いろいろな神様がとても身近な存在であることがわかります。
「太陽神に祈る」
電気のない家で暮らしていた庫淑蘭は、
太陽、月、電球、蝋燭の灯等々、
光を象徴するものを好んで切り絵にしました。
太陽、月、星などの天体も彼女の意のままに、
心に思い描く神話的な宇宙として表現されています。
「加持祈禱」
神殿や蓮のランタン、蝋燭やお香など、
仏教の法具が対称的に描かれています。
蓮華台にいる神様の手には薬が描かれています。
衛生状態が悪く13人の子供のうち10人が亡くなった作者にとって、
神の存在は特別なものだったのでしょう。
※ ※ ※
「第四章」 切り絵の女神
1985年、庫淑蘭65歳の時に不幸にも崖から転落する事故に遭い、40日を超える昏睡状態に陥りました。生死の淵を彷徨うなかで現れた「切り絵の女神」。奇跡的に意識を回復した後、さらに切り絵の創作に没頭し、ついに中国民間芸術史上に自分自身のスタイルを確立しました。まるで民間宗教の創始者のように神と人間をつなぐ存在である庫淑蘭は、自分自身を神に捧げ、神と一体化することにより「切り絵の女神」シリーズを作り上げたのです。
「切り絵の女神」
今回展示される作品の中で最もダイナミックな一枚(1.3m×1.3m)。
2,970個の円形と花びらで飾られた本作は、
宝石箱のように鮮やかに静かな輝きを放っています。
「切り絵の女神」は、心に思い描く神話的な宇宙の中で徐々に育てられた主人公です。
女神の手には小さなハサミが握られています。
その場所は、厳かで壮麗な寺院に見えますが、実は宇宙の全体像でもあるのです。
※ ※ ※
【関連イベント】
1. 変幻自在! マジック × 舞台劇
ある美術館で女の子と不思議なピエロが出会うオリジナルストーリー。アッと驚くマジックを始め、躍動感あるパフォーマンスに驚きと興奮で目が離せません!大人も子どもも楽しめるファンタジーあふれる舞台劇。ぜひ会場で体感してください!
【日 時】9月30日(土) ①11:00~11:40 ②14:00~14:40
【会 場】日中友好会館B1階・大ホール
【出 演】ごっちくん × アッキー
【席 数】130席/回、立ち見OK
【参加料】無料 ※申込不要
2. 親子で楽しむ切り紙ワークショップ
※事前申込制
中国の農村や日本各地でのフィールドワークから伝統的な「切り紙」文化を学びます。暮らしを彩り、めぐる季節の中で再生する形を一緒に作りましょう!
【日 時】10月9日(月・祝) ①10:30~12:30 ②14:00~16:00
【会 場】日中友好会館B1階・大ホール
【講 師】下中菜穂 (造形作家 伝承切り紙、歳時伝承研究)
丹羽朋子 (文化人類学)
【対 象】小学校3年生以上の学生とそのご家族(ハサミやカッターが使える方)
【人 数】30名/回
【材料費】500円/名
※申込締切9月24日(日)。申込多数の場合は抽選します。当選の方のみ9月25日(月)以降メールでご連絡します。
予約はこちら。電話・メール・来館でのお申込みはできません。
3. 二胡 × 尺八 × ピアノ ♪ 秋のコンサート
若手アーティストによる、柔らかい音色の二胡(中国)、落ち着いた渋みの尺八(日本)、おなじみのピアノ(西洋)のアンサンブル!秋の雰囲気にピッタリの演奏をお届けします♬
【日 時】10月14日(土) ①11:00~11:50 ②14:00~14:50
【会 場】日中友好会館B1階・大ホール
【出 演】MAYA(二胡)× 田辺しおり(尺八)× 芝田佳央(ピアノ)
【席 数】130席/回、立ち見OK
【参加料】無料 ※申込不要
4. ガラガラ お楽しみ抽選会
収穫の秋に、お楽しみ抽選会を開催します。ご来館頂いた方全員ご参加いただけます。クーばあちゃんの切り絵の図鑑、中国伝統切紙、パンダグッズなど、充実した景品をご用意しております。ハズレなし!
【日 時】10月21日(土) 10月22日(日) 10:00~17:00
【会 場】日中友好会館美術館内
※ ※ ※ 本展に関するお問合せは下記までご連絡下さい ※ ※ ※
日中友好会館文化事業部
Tel:03-3815-5085(平日9時~12時 13時~17時)
E-Mail:bunka@jcfc.or.jp